研究会概要
設立趣旨
近年、経営分野における人工知能研究の発展は目覚ましく、マーケティング、情報システム、経営環境、財務など、様々な経営課題に対して取り組みが進んでいます。人工知能研究手法としては、マーケティングで必須となりつつある情報検索やテキストマイニング、自然言語処理、データマイニング、経営環境や財務分野で用いられる学習・予測技術やマルチエージェントシミュレーションなど、多くの最新の手法が取り入れられています。また、ビッグデータに関連した企業側からの強い要望に対応して、大規模データマイニングや統計的機械学習などの分野でも急速な技術革新が始まっています。
人工知能学会の研究会においても、経営分野に関連する研究会が存在し、活発に活動を行っています。しかしながら、企業活動において中心的課題となっている経営戦略、経営組織、人事管理、労働市場、会計、財務、経営の意思決定、産業ネットワーク、イノベーションマネジメント、マーケティング、企業情報システム、サプライチェーンマネジメント、知識マネジメント等といった、経営分野における先進的な取り組みを人工知能研究の観点から統合的に議論する場は、残念ながら存在していませんでした。一方、技術・手法面では、データマイニング技術、知識発見手法、機械学習技術、シミュレーション技術、モデリング手法、最適化技術、クラウドコンピューティング、集合知、メカニズムデザインなど、経営課題に適用可能な様々な最新技術やアイディアが出現しています。
そこで本研究会では、経営に関連する知能情報技術を表す「ビジネス・インフォマティクス」をキーワードとして、経営に関わる基礎から応用までの幅広い研究課題を対象とした、経営分野において人工知能で取り組むべき課題を発掘する課題発掘型研究を主要な目的とします。
ビジネス・インフォマティクス(Business Informatics)は、IEEEのComputer Societyでも主要なコンファレンス(IEEE Conference on Business Informatics)のひとつとなっており、経営および社会経済分野におけるBusiness Model Innovation, Business Process Engineering, Empowering & Enabling Technologies, Enterprise Architecture, Enterprise Engineering, Enterprise Modeling, Enterprise & Business Transformation, Method Engineering, Service Innovation & Engineering, Social & Frontier Technologiesといった領域で活発に議論がされています。
日本においても、経営分野に関心のある工学系研究者のみならず、人工知能応用に関心のある経営系研究者、ビジネスの最前線にいる実務家にも参加を呼びかけ、お互いの研究成果を発表し議論する場を設けることを通して、国際競争力の更なる向上が課題となっている日本の経営力を、人工知能技術の利用を通して強化することを目指します。